人工授精(IUI)の基本と私の体験記

みなさま、こんにちは!
アメリカ看護師のケイです。
不妊治療をしている方、考えている方、そして身近に治療をしているお友達がいる方は、『人工授精(IUI)』という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
不妊治療にはタイミング法、人工授精(IUI)、体外受精(IVF)などいくつかの方法がありますが、この記事ではIUIについて書いています。
私は、体や費用の負担を抑えつつ妊娠する可能性を上げたいと考え、IUIを選びました。
この記事は、
- IUIとは何かを知りたい方
- これから受けるか迷っている方
- 当日の流れや痛み、費用感などを具体的に知りたい方
に向けて、基本の仕組みと私の体験記をまとめたものです。
不妊治療に不安はつきものだと思います。そんな不安を少しでも減らすことができる助けになればと思います。
人工授精(IUI)とは?
人工授精(IUI:Intrauterine Insemination)とは、あらかじめ洗浄・濃縮した精子を排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入する方法です。
体の中で受精するので、自然妊娠に近い流れのまま精子と卵子が出会う確率を高めてくれます。
頚管(子宮の入り口)の通りづらさや、
タイミングのずれを補えるのが特徴で、
タイミング法で結果が出なかったり、
軽度の男性因子(精子の運動率低下や乏精子症)、
原因不明不妊、性交障害などの理由から、
選択されることが多いとされています。
進め方はとてもシンプルで、
周期の初めに、超音波や採血ホルモン検査で卵胞の育ちを確認し、必要に応じて排卵誘発剤やトリガー注射でタイミングを整えます。
IUI当日に採精し、ラボで精子を洗浄・濃縮します。それを細いカテーテルで子宮内に注入します。
処置自体は数分で終わり、その後10分程台の上で安静にしてから帰宅します。
結果の判定はおよそ2週間後に血液検査で確認します。
処置の1時間前にアセトアミノフェン(痛み止め)を1000mg服用するよう指示がありましたが、日本人感覚の私にとっては1000mgは多すぎる思い、500mgのみ服用しました。
それでも、痛みはほとんど感じずに処置は終わりました。
注入した際に、下腹部に軽度の違和感を感じましたが、それも一瞬でした。
クリニックの滞在は、30分もかかっていないので仕事の合間でもやりくりできないことはないと思いましたが、
私は大事をとって休みを取りました。
IUIで使った薬
私が使用したのは
①クロミッド(排卵誘発剤)
②hCGトリガー注射(排卵を起こす)
③プロゲステロン(黄体補充)
この3種類です。
クロミッド:Clomid(排卵誘発)
クロミッドは排卵を促し、必要に応じて複数の卵胞が育つ可能性を高めるために使います。
通常は生理開始2~3日目から内服を開始し、5日間飲み続けるのが一般的です。
ただ、今回は急遽IUIを決めたこともあり
生理開始から約7日後に服用をスタートし、5日間続けました。
スケジュールの柔軟性があることを、実際に使ってみて実感しました。
副作用については、
よく言われるのぼせや軽い頭痛、排卵期の下腹部の違和感などが出る人もいますが
私の場合はほぼ自覚なしでした。
むしろ、いつもより少しハッピーでいたような気もします。
なので、日常生活に何も支障はありませんでした。
クロミッド内服時に注意した方がよいポイントとしては、子宮内膜が薄くなることがまれにあると言われています。
そのため、ドクターが超音波検査で子宮内膜のサイズを確認しています。
hCGトリガー注射:Ovidrel(排卵誘発)
hCGトリガー注射は、排卵のタイミングを合わせるために使います。
一般的には生理開始9~14日目の間に超音波検査で卵胞サイズを確認しながら、最適なタイミングで注射をします。
そして、約24~36時間後に排卵が起こる想定で、IUIの日取りを合わせます。
私の場合は、
クロミッドを生理開始7日目から5日間内服し、12日目にトリガーショットを打ちました。
時間指定ではなく、夜に打てばOKという指示で、翌日にIUIを行いました。
注射器の準備は簡単で、箱の中でキットとしてセットされているので、針を自分で装着する必要はありませんでした。
箱から取り出し、
針先を上に向けて、
シリンジを軽くトントンして気泡を上に集めてからプランジャー(シリンジの下の押し出す部分)を少し押して
針の先端に薬液が1滴出たら、準備は完了です。

おへそから指三本分のスペースを空けたところに注射します。
針を刺す痛みをなるべく感じたくないので、お腹の脂肪を痛いくらいぎゅうッと掴んだ状態で注射しました。
刺すときに一瞬ちくっとするくらいで、薬の注入時や注入後も特に痛みはありませんでした。
薬の種類によっては注入時や注入後に焼けるような痛み(耐えられる程度です)が出ることもあるので、今回は痛みが出ずにホッとしました。
プロゲステロン:Prometrium(黄体ホルモン補充)
プロゲステロンは、IUI後の受精卵の着床をサポートするためと、子宮内膜を安定させる目的で使います。
私の場合、
IUIの翌日から、朝・昼・晩の1日3回、膣に挿入しました。
最初の1~2日は少しイライラしやすく、ホルモンをいじってるな~という感覚がありましたが、
その後は体が慣れたのか、むくみをうっすら感じる程度で大きな不調はありませんでした。
薬を使うとき注意した方がいいことがあります。
膣内で薬を使うため、白っぽい残渣が流れ出てきます。
服や下着を汚さないために、おりもの用シートは必須で、2枚重ねで使うことをおすすめします!
性交渉については、ドクターはしても問題ないと言っていましたが、
「薬のカスが出てくるから気持ち悪いと思うよ」とアドバイスをくれました。
タイムライン:検査~当日~判定
少しイレギュラーですが、こちらは今回のタイムラインになります。
子宮にポリープなどがないか確認するために、生理食塩水を使った超音波検査の予約を取りました。
検査の結果、”A+”の評価をもらいました。安心したと同時に、ではなぜ妊娠しないのかという疑問が出てくる結果になりました。
この時点で、今回のサイクルでIUIをすることを決めたので、夜からクロミッドの内服を開始しました。
クロミッドの内服を開始してから5日目に、卵胞のサイズを確認しました。
十分な大きさになっているものが2個確認できたので、翌日にトリガーショットを打つことが決定しました。
オビドレルを夜に打つよう指示があったので、9:00PMにお腹に注射しました。
夫は精液採取のため、9:30にクリニックへ行きました。
私は12:30にクリニックに行きIUIを行いました。
夜は性交渉をするように指示がありました。
IUIの2日後から、プロゲステロンの膣錠を朝・昼・晩の1日3回使用開始しました。
妊娠しているか血液検査で確認します。午後には結果報告の電話がかかってきました。
残念ながら、妊娠していませんでした。
IUIの場合は、最後の血液検査を含めて合計4回の通院でした。
薬代:$83
IUI(通院・血液検査含む):$2,720
実際にしてみた感想
体への負担は少なく、あっという間に終わってしまったというのが正直な感想です。
薬の副作用は少ないし、採卵などに比べたら圧倒的に注射の数が少なく、運動制限もないことは助かりました。
また、IUIのサイクル中の通院回数が少ないのは、働いている私にとってはとても助かりました。
IUI当日は休みをとらせてもらったけれど
職場の人の理解があるからこそストレスが少なく不妊治療に励めると思います。
その一方で、治療を受けるために休むことを伝えると、
残念だった結果の場合も必然的にわかってしまうため、気を使ってくれているなとも感じました。
治療自体はあっという間に終わりました。
夫も交えてドクターと会話を楽しみながら、
「はい、じゃあ入れるよー」と、夫の洗浄・濃縮された精子を注入し、
その後10分してから起き上がってよいと指示をもらいました。
待機中の10分の間に、なんだか右の卵巣辺りがウズウズしている感じがあり、
「排卵したのかな?卵子と精子が出会ったのかな?」
なんて期待を胸に膨らませていました。
IUIから2週間後の血液検査で結果がすぐにはっきりわかるのは、
モヤモヤする時間が少なくなるのでいいことだとは思うんですが、
なんだかあっけない気もしました。
今回のIUIで妊娠したらラッキーくらいの気持ちで治療に臨みましたが
やはり妊娠していないことを電話で聞いたときは落ち込みました。
ただ、IUIで妊娠する確率は25%程とドクターも言っていたので、
今は気持ちを切り替えて次に進もうと思えています。
まとめ
不妊治療の中でもIUIは、タイミング法に比べてもう一歩踏み込んだ治療になります。
クロミッドを使いながらのタイミング法までは、トライする方も多いかと思います。
実際に私の周りでも、タイミング法までと決めていたという方が数人います。
一方でIUIとなると、値段も安くないし完全に自然な形の妊娠ではないけれど、それでもIUIは妊娠する可能性を高めてくれる治療法なのは確かだと思います。
結果そのものは自分でコントロールできないけれど、妊娠する確率を高めてくれる現代の医療に感謝しています。
この記事が、IUIをとはどんなものか知りたい方や決断に迷っている方に、少しでもお役に立てればと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。